2012年7月24日火曜日

同時多発テロと戦後日本ナショナリズム    島田雅彦

対話の回路―小熊英二対談集

初版第1刷発行 2005年7月29日
著 者 小熊英二・村上 龍・島田雅彦・
網野幸彦・谷川健一・赤坂憲雄・
上野千鶴子・姜 尚中・今沢 裕
発行者 堀江 洪
発行所 株式会社 新曜社


「日本」からのエクソダス           村上 龍 7


同時多発テロと戦後日本ナショナリズム    島田雅彦 69


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人類史的転換期における歴史学と日本     網野善彦 123


柳田の経世済民の志はどこにいったのか    谷川健一201


〈有色の帝国〉 のアジア認識         赤坂意雄 249
- 柳田思想の水脈と可能性

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戦後思想の巨大なタペストリー       上野千鶴子 285
- 『(民主)と(愛国)』をめぐって


ナショナリズムをめぐって           姜 尚中 311


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秘密の喫茶店                 今沢 裕 329


あとがき                     小熊英二 386

このところオスプレイをめぐって対米関係がマスコミで取り上げられることが多いが、おそらく政治家も国民もアメリカの横暴に対して真剣に立ち向かう気もないだろう。アメリカの対中国戦略としてのオスプレイ投入を、尖閣列島に関する日本の対中関係とリンクさせる人もいると思う。島田雅彦が述べるアメリカやイギリスの東アジアにおける戦略の一環でもあるが、アジアの台頭を封じ込めるには日中関係に楔を打つ必要がある。アジアにおける冷戦の継続(北朝鮮問題等)こそ、アメリカの国益にそうものであることは誰しも分かっていながら、アメリカに追随した方が日本の国益にかなってきたという事実も否めない。
冷徹なアメリカの戦略をこの作品は分かりやすく解説してくれている。マスコミではオスプレイ導入の怒りの矛先をアメリカではなく、政府に向けている場面を繰り返し報道しているが、マスコミ自体アメリカを怖れていることは目に見えている。ただ、原発問題が以前とは違う市民運動になったように、基地問題が市民運動になる機会でもあるので、日本のこれからのアジアにおける戦略も踏まえて、しっかり考えるべきだろう。それにはこのようなこの書のような解説をしっかり読んでおく必要もあると思う。

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