2012年4月8日日曜日

名越護2006『奄美の債務奴隷ヤンチユ』南方新社

目次
  プロローグ
父の自分史 17
「奄美宇検相生勝の検地帳」目につく 19
三分の二は他【よそ】ジマの耕作地 20
   人口の落ち込みは天然痘の影響? 22
 「相互扶助」で支え合う 23
  生勝は「蔵戸村」か? 25
悲恋の伝説・カンティミ 27

  第一章 ヤンチュのルーツ

古代のヤッコ由来 35
奄美五島を直轄地に 39
「大島置目条々」によるヤンチュ規制 43
サトウキビの伝来 45
換糖上納制始まる 48
調所の「天保の改革」 52
   銑製の黍絞り機を発明した柏有度 55
  貨幣の流通を停止 58
  年々減らされる給米 65
  ヤンチュに転落する島民  67
  百五十斤の砂糖で身売り  69
  ヤンチュ札  70
   潰れ村続出  74

   第二章 ヤンチュの日常

維新前後のヤンチュ数 81
ヤンチュの社会的地位 85
ヤンチュの呼称 87
ヤンチュの住居 88
ヤンチュの食生活 91
ヤンチュに転落した?豪農 94
ヤンチュの労働 98
ヤンチュの性生活 101

  第三章 豊かな衆達【しゆうた】層

初の郷士格賜った田畑佐文仁 105
砂糖四十万斤を献上した芝好徳 108
   郷士格を連発 110
   なぜ一字姓? 114
   与人上国制でも収奪 115
   越訴・直訴を奨励 121
   文仁演崩れ 123
   国淳の切腹事件 125
   百姓の味方・稲源 128
   大東島を発見した当済  129
   伊家のこと 133
   ヤンチュの 「売証文」  137
斉彬の藩主就任の功罪 145
沖永良部島のニザ  147

  第四章 島民の抵抗
栄文仁の脱島 153
大島への脱島も頻繁 155
佐衛員の主人ら殺傷事件 159
母間騒動 162
  犬目布騒動 166
「徳田崩れ」とヤンチュ 171
「猿化騒動」起こる 174
奄美の〝英雄〝ャチャ坊伝説 178
反骨精神で開いた奄美市崎原集落  183
「ケンムン」は反骨精神の象徴  182
ウラトミ伝説 186
役人を退散させた鶴松 191

  第五章 ヤンチュそれぞれ

遠州まで漂流したヤンチュ二人  195
ヤンチュの墓 197

奄美最後の死刑 201
いまも現れる?イマジョの亡霊 206
ヤンチュを愛した?鍋加那 212
ニザの生き埋め事件 216
ヤンチュを書いた小説 219
母妹を身請けした池野喜美益 223
民話「ヤンチユの夢」 226
ヤンチユの心中 232

  第六章 周辺地区の隷属民

岩手の名子と日向の人買い船 233
鹿児島本土のデカン・メロ 237
沖縄本島の「ンザ」 240
宮古島の名子【なぐ】243

  第七章 苦難の解放運動
土持政照と西郷 247
西郷隆盛の奄美観 249
「大島商社」の横暴に立ち上がった丸田南里 254
ヤンチュ解放運動 262
ヤンチュ解放に尽力した伊地知清左衛門 266
沖永良部島での解放運動 268
衆達の解放反対運動 270
最後?のヤンチュ 274
口之津に移住した「ンダ」 275
砂糖菓子と島の生活 279

薩摩藩の黒糖支配とヤンチュ関連の年表 285
あとがき 291
主な参考文献 296



コメント
特に第二章は金久 好 1963  「第一編 奄美大島に於ける「家人」の研究」 名瀬市史編纂委員会編  『名瀬市史第二集』  pp.1-40の焼き直し的な内容だが、地元の研究者が避けたがる研究に踏み込んでいった価値は高いと思う。本当は古老からもっと経験談を聞いて、簡単なライフヒストリーを造り上げるくらいして欲しかった。というのも私たち外部者には立ち入れない内容も多いからである。