この道はいつか来た道 ああ そうだよお
とこの書を読むと口ずさみたくなる。どこかの新聞や週刊誌の見出しにも用いられたフレーズに思うが、敢えて使いたい。
混沌とした政局、隠然たる既得権力、未曾有の大災害に不況etc
大きく違うのはアメリカ帝国に制御されて、軍事力が独自の力を持っていないと言うことだろう。
ただ、当時既に英米の東アジア戦略の手中にあったと考えれば、日本は利用されている点では同じかも知れない。
今回も尖閣列島問題における領土問題で貿易等で得をしたのは、ドイツやアメリカなどであった。
日清・日露戦争で確定された領土という歴史に触れようともせず、『琉球王国』がどのような国であったか考慮することも忌避する。
政治家の言う歴史認識が妥当かどうか、岩波新書の『シリーズ日本近現代史』を繙いてみたらどうだろうか。
奇しくも外交の失敗と自民党の安倍総裁が街頭演説で民主党を批難したが、アメリカのアジア戦略に沿う形が将来の日本のためになるのか
ヨーロッパからアジアにシフトした世界経済での、日本のあり方はもう一度歴史認識を問い直すことから始める必要があると思う。
特にこの書は現代日本を考える上で参考になった。
大正デモクラシー
シリーズ日本近現代史④ 岩波新書(新赤版)1045
2007年4月20日 第1刷発行
著 者 成田龍一【なりたりゅういち】
発行者 山口昭男
発行所 株式会社岩波書店
目 次
はじめに - 帝国とデモクラシーのあいだ
第1章 民本主義と都市民衆…・ :1
1 日比谷焼打ち事件と雑業層 2
2 旦那衆の住民運動 11
3 第一次護憲運動と大正政変 18
4 民本主義の主張 27
5 「新しい女性」 の登場 37
第2章 第一次世界大戦と社会の変容…・ ‥45
1 韓国併合 46
2 第一次世界大戦開戦 55
3 都市社会と農村社会 62
4 シベリア出兵の顛末 72
第3章 米騒動・政党政治・改造の運動… 81
1 一九一八年夏の米騒動 82
2 政党内閣の誕生 89
3 「改造」の諸潮流 100
4 無産運動と国粋運動 111
5 反差別意識の胎動 119
第4章 植民地の光景………: :129
1 植民地へのまなざし 130
2 三・一運動と五・四運動 139
3 植民地統治論の射程 148
4 ワシントン体制 156
第5章 モダニズムの社会空間…・ …:163
1 関東大震災 164
2 「主婦」と「職業婦人」 171
3 「常民」とは誰か 178
4 都市空間の文化経験 183
5 普通選挙法と治安維持法 190
第6章 恐慌下の既成政党と無産勢力=: …………・201
1 歴史の裂け目 202
2 既成政党と無産政党 209
3 緊縮・統帥権干犯・恐慌 220
4 恐慌下の社会運動 228
おわりに-「満州事変」前後… =237
あとがき 243
参考文献
略年表
索 引